第121回景況調査(2022年4月~6月期)報告書

「先行きが見えず、ジリ貧に。 あらゆるものを刷新するというイノベーションが求められている。」

〔概況〕

 2022年4月~6月期は、利益DIがさらに悪化しました。その他の指標は前回調査から改善を示しましたが、景況感DI、次期予想DIとも「良い」ではなく、「悪い」が改善するという下げ止まり回復を示し、景況感は低水準横ばいで推移しており、回復が遅れている。売上高DIは前回の調査から横ばいでプラス域ですが、利益DIは前回の▲10.8から3.6ポイント悪化し▲14.4となり、仕入れの上昇、高騰という経営上の問題点が顕著に現れています。

 業種別の動向では、ほとんど全ての業種の利益DIが悪化しました。特に建設業(土木)では売上高DIや新規受注DIなどもプラス域からマイナス域へ悪変しました。景況感DIもマイナス域が目立ちますが、次期予想DIはプラス域を示す業種が多くなりました。

 経営上の問題点は、「仕入単価上昇」が上昇し最も多い問題点となりました。「原材料の高騰」と並んでトップの問題点となっています。コロナ禍で上位に上がっていた「民間需要の停滞」は減少傾向にあり、経営課題の入れ替わりが顕著になっています。

 特別項目では“新卒採用”“夏の賞与”“賃上げ”“インボイス”の4項目について調査を行い、新卒採用は、採用する企業の割合及び採用人数ともに前年同期よりも減少しました。夏の賞与は、支給する企業の割合は前年同期よりも減少しましたが、「支給する」と回答した企業の支給基準は高くなりました。インボイスの影響については、およそ4割の企業が「事務作業の煩雑化」を主な影響として考えています。しかし「わからない」と回答した企業も3割にもなりました。

 経営指針書に関する調査では、指針書の作成と景況感のクロス分析で「作成し実践している」企業の景況感DIはプラス域となり、その他の回答者はマイナス域となりました。  今回調査では、ある程度売上げはあるものの利益を出しにくい状況であることが現れています。コロナの影響、続く円安、ロシア・ウクライナ情勢の影響などにより、原材料を含めあらゆるものの価格がいつまで上がるのか、どこまで上がるのか、先行きが見通せません。自社の課題を把握し、今こそ、原材料そのものも含め、業務内容などあらゆるものを変えてみる、新たなものを取り入れるなど、イノベーションが求められています。

第121回景況報告書(PDF形式)

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