第128回景況調査(2024年1~3月期)ダイジェスト
「業種により景況感に差あり。 外部の知恵も取り込み、新たな取組みを!」
〔概況〕
今回の調査では「景況感DI」は前期比-1.1ポイントで微減、「次期予想DI」は+0.3ポイントと横ばいでした。一方で、前期(2023年10-12月)比で「売上DI」が-5.3ポイント、「利益DI」が-6.7ポイントと、売上・利益DIはいずれも減退しました。しかしながら、本編中の業種別の動向で示されたように、業種によってDI値は大きく差が出る結果となりました。
また、「資金繰りDI」は前期比-4.0ポイントでDI値-0.6となり、本調査2015年以来のマイナス域となりました。コロナ禍で始まった「ゼロゼロ融資」の返済ピークを迎える2024年7月を控え、当会の景況分析会議では「自社の資金繰りに余裕があっても、売掛金や支払いの問題などが起きる事態も今後想定される」など、警戒感を示す意見も出されました。
経営上の問題点は「人材獲得難」を回答する企業数が35.1%と最も多く、「従業員不足」が28.5%と2位に再浮上し、人の問題の比重が大きくなっています。また、「原料・材料等の高騰」の回答割合が減少したものの24.0%と依然高い水準であり、製造業と建設業では「思った以上に価格転嫁難が進んでいない」と分析会議で語られました。さらに、インバウンド需要の回復により一部食材等では首都圏に供給が偏るという問題が起きており、仕入それ自体が困難な状況で、受注機会の損失に繋がっているとの情報も共有されました。
景況判断理由の自由回答欄では、景況判断の「良い」との回答者には、「新しい取り組み」「受注」など自社の企業努力に関する回答が多数見受けられました。ビジネスモデルの再構築など新しい事業、商品・サービスの展開などが求められるとともに、受注体制の強化として、取引先・パートナーとの関係の強化、従来の枠組みにとらわれず外部との連携と協働も必要ではないかと提起されました。
〔賃上げの特別調査〕
この春、賃上げ率5%以上の「高水準」も5社に1社
賃上げの設問に対し、「賃上げを月次賃金で行った。行う予定である。」との回答が全体の33.2%で最も多く、3社に1社が回答されました。また、「賃上げを一時金で行った。行う予定である」が15.3%と合わせて、48.5%と、何らかの形で賃上げする、もしくは予定する企業が半数近くを占めました。一方、「賃上げは行わない。」が29%と2番目に多い回答でした。
また、「賃上げを月次賃金で行った。行う予定である」との回答企業のうち、賃金アップ率は「2~3%程度」との回答が最も多く44.7%と半数近くを占めました(n=190)。次いで、「5%以上」が20.5%と5社に1社が回答され、少なくともアップ率を2%以上と回答する企業が、8割を占める結果となりました。なお、連合の「2024春闘4次集計」の発表によれば、ベースアップ・定期昇給と合わせた賃上げが平均5.20%で1991年以来の「高水準」となり、同程度の賃上げ率の企業が一定数あるとみられます。