第129回景況調査(2024年4月~6月期)

「ますます人手不足が深刻に。収益確保のためにも、自社の商品・サービスに独自性を持たせることが重要!」

〔概況〕主要DI全て減退 利益DIは3期ぶりマイナス域に。

今回の調査では「景況感DI」は前期比-3.6ポイントと減退し、「次期予想DI」は-1.5ポイントと微減でした。また、「売上高DI」が-3.3ポイント、「新規受注DI」が-5.2ポイント、「利益DI」が-2.1ポイントと、主要DIすべてが前期比マイナスとなり、利益DIは-2.1と3期ぶりのマイナス域になりました。今回のDI値下落の変動を見ると「非常に良い」「良い」との回答が「普通」の回答に比重が増えたためで、景況水準総体としては「利益DI」以外はプラス域にあり、必ずしも悪い水準ではありませんが、指標の悪化傾向は注視する必要があります。

経営上の問題点では引き続き、「人材獲得難」の回答企業が32.3%と最も多く、建設業において顕著です。景況判断理由において「仕事の依頼は多いが人不足で受注ができない」という特徴的な回答もみられます。また、「原料・材料等の高騰」の回答割合が25.2%と2番目に多く、次いで仕入単価上昇「24.2%」と物価上昇による経営上の問題点に比重が強まりました。また、今期取り組んだ経営課題においては「人材確保」が最も回答が多く、人の問題に力点を置いていることが分かります。

景況判断理由の自由回答欄において「非常によい」「よい」との回答の特徴は、新規顧客や案件の増加、新サービスの開始、営業努力と顧客関係の改善で成果を出し、景況の良さに寄与していることが見受けられます。また、自社の商品・サービス単価の引き上げなど、製造業(生産財)で価格戦略の変更が収益改善につながっているとみられます。他方、景況を「悪い」と判断した企業においては、原材料費や仕入れ価格の高騰が利益を圧迫しており、価格転嫁が追いついていないという問題があります。

景況分析会議においては、各業界の状況を論議しました。「業況が悪い企業の話を伺うと、下請けの仕事をしている企業が多い」「すべての分野で仕事を変えるのは難しいが、一つでも価格決定権をもつ分野を作る企業づくりが重要である」と提起されました。

〔特別調査〕「人手不足」48.4%「採用が出来ず困っている」28.4%

「現在の従業員の過不足状況」について、「人手不足」との回答が48.4%を占め、約半数の企業が人手確保に問題を抱えていることが明らかとなりました。「現在の従業員の採用状況」については、「採用ができず困っている」は28.4%を占め、「採用していない」「不明」の企業を除けば、41.6%にものぼりました。経営上の問題点の設問(3項目に限る)と比べて回答割合が高く、当面は一番の課題と回答していなくとも、採用活動に困難を抱える企業が多いことが認められます。

夏の賞与については「支給する」が60%を占め(n=488)、そのうち支給基準で最も多い回答は「1~1.5か月未満」で38.6%でした(n=290)。一方で「支給しない」が1割を占める結果となりました。また、「もともと賞与はない」との回答は2割を占めています。

第129回景況調査報告書(PDF形式)

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