第2回経営実態調査(2024年10~12月期景況調査)ダイジェスト
「すべての指標で改善するも人手不足はさらに深刻に。従来の延長線上では厳しい。 社員と共に課題を明確にし、事業領域を見直し、新たな取り組みを」
〔概況〕
前回調査(2024年7-9月期)の業況判断DI「-8.2」に比べて、今期業況判断DI(前年同期比)は、「普通」「悪い」「非常に悪い」が減少したのに対し、「非常によい」「よい」の割合が上昇したことで9.6ポイント改善し、DI値が「1.4」となった。改善理由は、これまで悪化傾向の製造業と、サービス業(対個人)が改善したためだが、製造業の利益DI・自社業況判断DIは依然としてマイナス域にある。
売上DI(前年同期比)は前回までの3期連続での下落から反転して「12.9」へ改善し、9期連続のプラス域となった。販売・客単価DIは、上昇した企業が185件ある一方、売上増加の理由に「販売・受注価格の上昇」とした企業は38件にとどまり、販売・客単価の上昇が必ずしも売上増加まで至っていない企業が多いとみられる。
「採算(経常利益)」(前年同期比)DIでは、前回調査「-4.1」より10.3ポイント改善して「6.2」となった。採算が「好転」したと回答した138社のうち、77.5%、4社のうち3社が「売上数量・客数の増加」と回答した。採算(経常利益)が「悪化」した109社のうち、65.4%、およそ3社に2社が「営業の弱体化」と回答し、次いで「新たな競合相手との競合」も45社と半数近くを占めた。
次期見通し(2025年1-3月・前年同期比)DIでは売上・利益・業況判断DIともにプラス域である。
「経営上の問題点」では、今回は「従業員の不足」の回答割合が1位(28.8%)で最も多くなった。「人件費の増加」が、前回1位だった「仕入単価の上昇・高止まり」と同率2位(28.2%)となり、引き続き“人の問題”が大きな比重を占めた。
一方で「経営上の力点・課題」においては、1位は「自社内・外部環境の状況把握・分析(18.8%)」、「経営者の姿勢の確立(17.6%)」に力点を置いた企業が多くみられ、「人材確保」は3位(17.2%)にとどまり、人の問題に対して対策・力点を直に置く回答が少ない傾向となった。この傾向は、経営実態調査の分析会議の議論において、「『人件費の増加』という『問題』があるため、『人材確保』の対策・力点が抑え気味のためではないか」「やはり付加価値の増大の力点を上げ、実践を進めないといけない」と論議された。仕入単価上昇・高止まりの問題は依然として回答率は高いものの、「いまはどのように人材を採用して社員教育を行うか、またどう付加価値を生みながら、人件費・社会保険料負担をどう吸収するか、自社で一番の課題を見極め、確実に実行するのが重要だ」と論議され、「これまでの延長では厳しい。『社員と共に』自社を見つめ直し、変化している企業がチャンスをものにしている」ことが意見された。
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