第122回景況調査(2022年7月~9月期)報告書

「停滞感あるも、期待値は上向き。楽観視せず、早急に経営環境の変化に対応する具体的取り組みを!」

〔概況〕

 2022年7月~9月期は、利益DI及び新規受注DIが悪化しマイナス域となり、景況観DIは二桁のマイナス域となりました。売上高DI、利益DIは3期連続で下がっています。一方で、コロナの落ち着きと規制緩和による経済活動の高まりへの期待からか次期予想DIは5.0ポイント改善し15.5となりました。

 経営上の問題点は「原材料の高騰」「仕入れ単価上昇」が3期連続でトップとなり、加えて「人材獲得難」「従業員不足」が上昇し続いています。これらはすべてコストアップ要因で、企業収益に影響が出ています。さらに今後、受注増に対応するという面からも人手不足は深刻な問題となると思われます。

 特設項目では“インボイス制度”“最低賃金”“販売価格転嫁状況”“コロナ禍の新たな取り組み”について調査しました。インボイス制度の周知度については昨年度時期に同様の調査をしましたが50%の認知度から今回の調査では85%まで上昇しました。しかし2割以上の企業が「対策は考えていない」または「対象事業者かわからない」と回答しました。価格転嫁状況については、7割の企業が完全には価格転嫁できていない状況となりました。原材料など仕入れ上昇分のみならず、従業員の賃金を上げるためにも価格転嫁を進める必要があります。コロナ禍の新たな取り組みについては、取り組みを行なっている企業は3割、計画中を含めても半数の企業に留まっています。残り半数の企業は「行なっていない」と回答しました。

 経営指針書の作成状況と景況観のクロス分析では、景況観はいずれの項目もマイナス域となりましたが、「作成し実践している」と回答した企業の景況感はマイナス域が一桁に留まりましたが、「作成に至っていない」「作成する必要はない」と回答している企業の景況感は二桁のマイナス域となりました。経営指針書を作成し、計画と見通しを立てることが重要です。

 景気に停滞感がありますが、先行きへの期待値は上向き傾向となっています。しかしながら、今回の調査からは次期予想改善の根拠が見出せません。この環境に慣れ、期待感から楽観視するのではなく、自社分析を行い、強みを活かすなど企業変革に具体的に取り組む必要があります。

第122回景況報告書(PDF形式)

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