第127回景況調査報告書(2023年10月~12月期)ダイジェスト
「景況指標は全体的に回復も先行きに警戒感あり人材獲得難など継続的課題の解決に向けた具体的な取り組みを」
〔概況〕
今回の調査では、景況感DI+7.6ポイントの5.4(前期比)、売上高DI+3.9ポイントの14.9(前年同期比)、利益DI(前年同期比)+7.8ポイントの6.7、新規受注DI(前期比)+7.9ポイントの9.2と、前回に比べて今期DI値の景況指標が全て回復しました。また、景況感DIでは「普通」との回答割合が減少し、景況判断がより明瞭になりました。これに対して、次期予想DI値は20.0と依然高い水準にあるものの、二期連続マイナス(前期比-5.4)となりました。さらに、経営指針の実践状況とのクロス分析では、「経営指針を作成し、実践されている企業」ほど見通しのマイナス幅が大きく、次期を厳しく見る警戒感が認められます。また、能登半島地震、「ダイハツ不正問題」の影響の広がり、各方面の原材料不足の問題など、さらなる不安要因も看過できません。
経営上の問題点では、「仕入れ単価上昇」は-8.5ポイントとなり前期3番目から4番目へ問題点としての回答は後退しましたが、5社に1社が回答する依然高い水準です。「人材獲得難」「原料・材料等の高騰」「従業員不足」いずれも回答割合は減少していますが、上位4項目であった点は前回と同様の結果であり、引き続いて慢性的な大きな課題です。また、経営上の問題点で自由回答には景況判断を「良い」「悪い」にかかわらず共通していたキーワードが、「営業活動」「受注」など自社の企業努力に関することが注目されました。景況分析会議では、人材獲得難などの継続的課題の解決に向けて具体的な対策を社内でも取るとともに、社内整備だけにとらわれず、受注体制の強化として、取引先・パートナーとの信頼関係づくり、従来の枠組みにとらわれず、フリーランスなど外部のリソースの活用、連携と協働も必要ではないかとの意見が出されました。
〔インボイス制度に関する調査〕
インボイス制度について、回答企業のうち免税事業者であった66社のうち、「登録していない(今後もしない予定)」が21件(33.8%)を占めました。免税事業者のうちインボイス非登録による取引拒否状況では、取引拒否されたことが「ある」との回答はなく、「何らかの条件の交渉があった」との回答も2件にとどまりました。また、インボイス制度の影響の設問(複数回答可)は、「影響はなかった」との回答が52.7%と約半数を占めるものの、「売り上げや利益に悪影響があった(30社/5.9%)」「ソフト導入等の費用が増えた(55社/10.9%)」「経理等の事務負担が増えた(190社/37.6%)」との回答を占めました。今後決算が集中する3月期を迎え不安要素としてインボイス制度の影響が危惧されます。
「インボイス制度への感想」の設問は、「このまま進めて問題ない」が141社27.9%を占めたものの、「インボイス制度を廃止してほしい」が最も多く、222社(44%)を占めました。