ヒトとヒトとのつながり、量的拡大と質的向上

~社員、お客様、メーカーからの信頼を構築~

株式会社 総和 取締役 山口 勝正 氏 <北九州支部>

保険業はヒトとヒトとのコミュニケーションが大切と考える山口勝正さん。 オンリーワン企業を目指して奮闘しています。

新体制スタート

今回の取材は、北九州市で保険業を営む株式会社総和の山口勝正さんです。「損害保険は損害保険ジャパン(株)、生命保険はSOMPOひまわり生命保険(株)・第一生命保険(株)の3社の商品を取り扱う代理店をしております」。

 1995(平成7)年創業、その後法人化をして、令和元年10月から現在の体制になっていきました。

 社名の由来は、『総』:社員一同で総合的に力を合わせお客様の安心を守ること。『和』:禾(のぎへん)にあらわされている稲穂のように実のある企業になることへの思いを込めています。

 山口さんは北九州市に生まれます。大学を卒業後、レンタカー会社に就職します。レンタカーと保険業は親密な関係があり、ある日「保険業で起業しませんか」の文字が目に留まりました。「ピン!」とくるものがあり、企業を決断するのでした。2006(平成18)年、山口さんが30歳の時です。そこから保険会社で研修を積み、3年後、基準をクリアして保険業の資格を修得しました。

 「独立するか、組織で活動するかを悩んでいました。そこで(株)総和の創業者の高橋良知さん(当時:北九州支部)から声をかけていただき(株)総和で働く決意をしました」。

 2019(令和元)年に、高橋さんが病気を理由に勇退することになりました。9歳年長の江藤賢一さんが代表取締役、山口さんが取締役となり新生・株式会社総和がスタートしたのでした。先代の実績で既に相当数の顧客を抱えており、確固たる『ブランド』を築くことに尽力していきました。

会社外観

同友会に入会

もともと高橋さんが同友会に入会していましたが、あまり参加していないようでした。経営を改めて学びたいと考えていた山口さんは計測検査(株)の坂本敏弘さんの紹介で同友会に入会するのでした。

 同社にはもともと経営理念があり、次の通りです。

  • 顧客の立場に立った保険普及の実践
  • 顧客満足の追求
  • 保険代理業の社会的地位の向上と地域社会への貢献

 自社の強みを再確認してこの理念の具現化に努めるのでした。

 北九州地区での独自のプロジェクト『地域政策部』や『商売繁盛会』などに積極的に参加しています。

経営ビジョン・経営理念
業務運営方針

対面の重要性

 「業界では、ネットの台頭で価格競争になりませんか」との質問に山口さんはこう答えます。「確かに、コロナ禍ではネットが伸びましたが、ある程度のところでシェアは頭打ちになるというデータがあります。何かあった場合の対応などでお客様が戻ってくる傾向があります。結局、対面が大事だと思います」。

 一昔前、GNP(義理・人情・プレゼント)などと揶揄されていましたが、お客様と接することが重要でマンパワーに頼るところが大きく、量的拡大と質的向上が求められます。

 現在スタッフは10人体制です。「なかなかこの10人の壁を越えられませんでした……」と山口さんは苦笑いします。以前は採用しては退職者が出るという悪循環を繰り返していました。何とかスタッフを増やしていきたいと考えています。

 そこで新体制では、スタッフの働き方改革に取り組みました。江藤社長がワン・オン・ワンでスタッフとの面談を定期的に行っています。まず終業時間を30分ほど切り上げました。「働き方は多岐にわたり、これからまた改革する余地はあります」と山口さんは話します。メンバーは若い社員が多く(平均年齢42歳)、女性も5名となりました。

オフィス風景

 『お客様アプローチブック』と称してマニュアルを数年前から作成しています。「保険というのは目に見えない商品です。お客様に特定の担当が就くというイメージが強いのですが、ウチでは誰でも金太郎飴のように同じ対応ができるようにしています」。平準化を図り、組織としてお客様に対応できるようにするのが目的です。お客様に対応できるようにするのが目的です。お客様にもメリットがありますが、会社側にも多能工化としてスタッフが休みを取得しやすいというメリットがあります。また保険業界は一人前になるのに3年から5年はかかると言われており、マニュアルの充実でいずれは新卒採用にも広げていきたいという考えもあります。

笑顔のスタッフさん

お客様満足のために

 山口さんは敢えて「営業のスーパースターはいりません」と言います。企業はヒトが変わっても永続的に運営していかないといけないからという理由です。しかし、経営理念にある通り、顧客満足の為にはサービスの品質を上げていかなければなりません。ISO9001の取り組み(顧客サービスの向上)とともに月2回のミーティングをしています。メーカーからの情報を取り入れたり、ロールプレイングを繰り返したりして刷新を図ります。営業及び電話対応など内部スタッフの充実も怠りません。

 お客様とのコミュニケーションツールとして、独自の広報紙を作成しています。3カ月に一度の発行で10年以上継続しています。自社のマスコットキャラクター『アポロ君』も活躍しています。

ビジョンは総和としてのブランド化

 「〝総和〟というブランディングを強化していきたい」そのためには企業イメージ作りや、商品ラインナップを充実させていくことが必要です。高齢化が進む中で、車や家屋を手放すケースも多くなってきています。地震やBCP(事業継続計画:災害などへの対応など)関連の商品、コンサルティング営業を通じ客単価の増加も求められます。

 お客様ターゲットとして、法人を上げています。そのためにも士業(社会保険労務士・税理士など)との連携を強めています。自らも宅地建物取引士の資格を取得し、スタッフの中にファイナンシャルプランナーを増やしていく努力をしています。

 さらにメーカーからの指標でもあるネットワーク構築として、板金業者や修理業者とのタイアップ、不動産との連携にも取り組んでいます。

オンリーワン企業を目指して

 昨今の業界における不祥事なども鑑みて、お客様との信頼をさらに構築して保険業の社会的地位の向上にも努めています。

 また地域に根差した会社運営と称して地域貢献活動もしています。会社周りの掃除は常時行い、お祭りの協賛もしています。

 取材の最後に山口さんの考える自立型企業についてお伺いしました。「ナンバーワン企業というより、オンリーワン企業だと思います。当社にとりましては、スタッフ、お客様、メーカーとこれまでに築きあげた信用を基にオンリーワン企業を目指していきたいと考えております」。

 取材協力ありがとうございます。

株式会社 総和

創業 1995年
住所 北九州市八幡西区相生町4-17-202
電話093-621-8888
従業員数8名
事業概要 損害保険、生命保険の募集
URLhttps://sohwa.net

取材/広報部
文章/菅原 弘(東支部)

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