人は人によって磨かれる

~本音を語れる仲間たちがいて 『経営課題』が明確に~

ふくろう不動産株式会社

ふくろう不動産株式会社
代表取締役 福添 建一氏(南支部)

同友会に入会して「人に恵まれました」と話す福添建一さん。その活動を取材しました。

名前の由来、社名の由来

  今回の自立型企業の登場は、ふくろう不動産(株)の福添建一さんです。

 福添さんは2月11日、建国記念日に鹿児島県の日置市で生まれました。戦前は紀元節と呼ばれ、いわゆる国家の誕生日にあたります。奇しくもその日は旧暦の1月1日でもあり、また「一番になれ!」の願いを込めて『建一』と命名されました。その後、建設業に携わることになるのですが、まさに「名は体を表す」を地で行っています。

事務所玄関・ふくろうの絵皿

 福添さんは岡山理科大学を卒業して、福岡市内のデベロッパーに就職します。13年ほど勤めましたが会社が解散するのを機に、キャリアを活かして独立するのでした。2011年のことです。懇意にしているお客様からふくろうの絵皿をプレゼントされたことがありました。自分の名字が、福(しあわせ)を添えること、福岡の地で創業することから、社名を親しみやすく『ふくろう不動産販売』としました。そのお客様からの「あなたが笑顔であれば、何事もうまくいきますよ」という言いつけは今でも守っています。

リノベーションへ方向転換

自然派リノベーションマンション

創業時は、新築マンションの販売代理業をメインの業務にしていました。2期目に、リノベーションという世界にめぐり逢います。当時マンションでは、キッチンの向きを変える事が出来ないと思っていました。キッチンの向きを変えたマンションを知って、「家族と向き合える」「小さな子どもを見守りながら料理ができる」と衝撃を受けました。「暮らしが変えられる!暮らしが変われば人生が変わる!!新しい価値の空間提案、リノベーションで今までにない感動を生み出せる」と福添さんは確信し、方針転換を図ることにしました。ペルソナ(平均的ではなく典型的なお客様ターゲット)を未就学のお子さんのいる家族と設定しました。

同友会に入会

事務所内は『つくらし』と同じ素材
事務所内は『つくらし』と同じ素材

 同友会入会前にあすなろ塾(経営理念作成のセミナー)を受講しました。入会してからは、経営指針作成セミナーを受講しました。2013年(3期目)、西元知基さん(中小企業診断士、現在GENコンサルティング(株))の協力を得て、社内向けに経営指針発表会を開きました。

しかし「リノベーションでメシが食えるか」と社員と確執が生まれます。

 その翌月に経営を学んで、社内に伝えていこうと同友会に入会します。翌期に、海野康弘さん((株)バウンディングパルス)の力添えをもらい、今度は取引先や同友会の仲間の前で、指針発表会をしました。しかし、発表会後の翌日に、社員が辞めることになります。

 「ある程度は想定内でしたが、やはり経営者の覚悟と一番は社員との対話不足を実感しました」と話します。

自社ブランド『つくらし』を立ち上げ、『よい志ごと』へ

5期目から、本格的にリノベーション業、マンション買取再販業に転換します。

北原正さん( 社会保険労務士法人COMMITMENT)が支部長の際にスタートしたマーケティング講座を、貞兼朋記さん((株)ルックルック・副代表理事)と福田裕聡さん((株)スミリオン・南支部長)と毎回受講して、自社ブランド『つくらし』を拡める戦略を練りました。「つくる+くらし」の造語で、ブランディングやデザインは、当時運営していた薬院テラスというシェアオフィスに同室の右寺武志さん((株)トンカチ)にお願いしています。コンセプトを次のようにしました。

  1. 地産地消の自然素材
  2. 心地よい動線・風通し
  3. 豊かな収納

 福添さんが何よりも大事にするのは、健康づくりの一助になる住まいでの暮らしです。

福岡県産の無垢材を使用
福岡県産の無垢材を使用

 一例を挙げると、床は福岡県産の無垢材を使用し、壁には国産珪藻土を使用しています。この素材は小さな穴があり化学物質などを吸着分解する働きがあります。床も壁も呼吸する家(マンション)です。「福岡の空がPM2・5で汚れてきていました。私自身もアレルギーを持っており、次の世代のためにも環境を守りたいと思っています」。その後、2回目の経営指針作成セミナーを受講し、策定した経営理念は次の通りです。

創造・貢献・育成

『まな板の鯉』で課題が明らかに

北原正さんの勧めで金融機関との勉強会で事例報告をしました。理念に共感してもらい、「特に信金さんとはよい関係が構築できています」。財務は山野将由さん((株)エヴァ)の指導のもと、資金繰りに対応しています。工事は大石憲一郎さん((株)class)が、協力してくれています。前事務所が同じ建物であったことから、スタッフの子どもの託児対策として、阿部弘美さん((株)ChouChou)と業務提携しました。3人は、福添さんがブロック長の際の副ブロック長です。役員活動の際に強い絆が生まれ、いつも相談に乗ってもらっています。また、ホームページも制作してもらっている福田裕聡さんと西元知基さんとは、大学の同級生です。同友会の仲間との仕事は、理念や人を理解し合えている上で関わっていくので、よい志ごとに繋がります。

揮発性有機化合物がほとんど含まれない環境に優しい水性塗料
揮発性有機化合物がほとんど含まれない環境に優しい水性塗料

 また南支部での独自の活動、中島洋史さん((株)アドアルファ)がリーダーを務める同友塾で『まな板の鯉』になります。これは指針書や財務表などをすべてオープンにして、仲間たちから質問や意見を受けるものです。「実は、もう5回も俎上にのりまして……。初めは恥ずかしかったのですが、みなさんが社外取締役として、時には社員の目線でアドバイスをしてくれます。」『つくらし』シリーズは実績が60件を超え(令和6年3月現在)、利益も計上しています。一方、マンションを買取り、数カ月かけて施工して販売するので、資金回収までに時間がかかるという面もあります。

 戦略として、栗山浩さん((株)アーキテックス)や渡辺年紹さん((株)コスモス)に、建売(住宅)から注文(住宅)への幅を広げることや、ランク付け(松・竹・梅など)を作ったらどうかなどアドバイスをもらいました。月々の売上げの平準化を図るために家賃収入が見込めないかと清家政彦さん(セイワパーク(株))からも提案をいただきます。貞兼朋記さんからは「成功と失敗は同格。とにかく指針書で明確にして行動すること。あと値決めが最も大事な仕事。しっかりとしたデータを基に決めること!」と、特に経営者の姿勢をアドバイスいただきます。

 前期では、同友塾担当の副支部長として、南支部の若手会員にも参加を促しま

した。

 取材に同席した倉本明彦さん((株)システム企画)からは「福添さんは、同友塾に加え、納涼例会や会員交流のブロック会などにはリーダーになってもらっています」という一面も紹介してくれました。

人は人によって磨かれる

 新内一秋さん((株)筑紫工業)はこう話したそうです。「同友会で仲間をつくることはとても素晴らしいことです。しかし『同友会ごっこ』になってはいけません。学んだふりになっても成長したとはなりません。ダイヤモンドはダイヤモンドで磨くことで輝きを出します。同様に人は人によって磨かれるのです」。

取材の最後に福添さんが考える自立型企業についてお伺いしました。「社員、そして会社が成長し続けていく企業。成長し続ける事で、地域に貢献し、その地域の次世代に繋げていく会社だと思います。私の大きなビジョンとして、いずれは衣食住に関わり、特に地球によい環境を次の世代に残していきたいと考えています。」と笑顔で締めていただきました。

 取材協力ありがとうございました。

ふくろう不動産株式会社

創業 2011年
住所 福岡市東区名島4-31-13
電話092-692-7229
従業員数パート3名
事業概要 自然派リノベーションマンション「つくらし」企画・販売、マンション専門不動産(買取・仲介・管理)
URLhttps://tukurasi.fukurou-fd.jp/

取材/広報部
文章/菅原 弘(東支部)
写真/富谷正弘(玄海支部)

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