中央支部8月例会報告

8月18日開催の中央支部例会は創伸テクニカルサービス㈱(以下 創伸㈱) 代表取締役社長 黒岩幸子さんのご報告でした。

 報告は「人間関係破壊が経営の危機を産む~ 愛が動くとき不可能は可能になる~」と言うテーマで、私も楽しみにしていました。

 まずは黒岩さんの人となり、家族構成、会社沿革のお話を頂きました。

 私は黒岩さんと入会時期が近いこともあり、よく知っているつもりでしたが、まだまだ知らないことがあり、改めて黒岩さんの性格や取り巻く環境を知ることが出来ました。

 特に社長に就任するまでの経緯に関して「これまで働いてくれた創伸㈱の社員の為、これまで関わって頂いた方の為に就任した」という心意気は大変感銘を受けました。

 ただ、その就任がお父様である創業者の意向と相違し、創業者と後継者の食い違いの始まりでもありました。就任した後はお父様とは数えきれない位ぶつかり、お互い自分の主張を曲げずに会社の運営を進めてきました。 「自分を絶対認めさせ、創業者の意識を変えさせてやる!」これが当時の黒岩さんのテーマだったようです。

それでもお父様の意識は変わらず、気づくとスタッフも離れていき、好調だった事業もブームが去り、業績は下降の一途を辿っていく状態になっていました。

 ここで自分が今までしていた主張が社員の為、会社に関わって頂いた方の為ではなく、自分自身を認めてもらいたいだけであったということに気づき、自分自身を見つめ直し、自分で学び直されました。

(1)事実と解釈と選択と現実 
(2)選択理論心理学を学ぶ
(3)一貫性を学ぶ

の三つのことを実例も含めお話し頂きました。

 新たに学んだ事を冷静に分析し、「創業者」と「後継者」の感情と主張を認識し、これまでの創業者の功績や考えを認め認識しました。

 今はお父様が右腕となり「お父さんと私が組んだら、やれないことがなくない!?」とお二人で話されているようです。

 私も現在、事業を引き継ぐ真っ只中にあります。社長である父のやり方には正直「?」を持ったことは多々ありますし、社長と話しても一言二言で終わることも常でした。

 でも黒岩さんの報告を聴いて「なぜ社長がこのやり方を行っていたのか?」「どのような思いで会社を運営されていたのか?」という疑問を持ち、その疑問を純粋に訊いてみました。すると社長との会話が続き、最近は社長と話すことがちょっと楽しくなってきました。

 黒岩さんの報告の中に「後継者ではなく後経者」という言葉がありました。 「後を継ぐことではなく、後の経営をする者」 時代の取り巻く環境は日々目まぐるしく変化していっています。中小企業は「社長のやり方が正しい、自分のやり方が正しい」ということを争っている場合ではないと思います。

   お互いのことを認めることが出来れば会社は二倍速で発展していくと私も思います。  ただ我社もそうですが、社長は社長である前に父親です。子供には無条件の愛があると思います。

事業継承とは社長から継承するものではなく、私たち「後経者」から歩み寄っていくのが正当な道筋だと思います。 黒岩さん、深いご報告有難うございました!

 (㈱権藤本店 佐々木 善一)

2016年8月30日