東さんは、株式会社九州トラベルサービスを創業した1999年から自己流で経営指針書・経営方針を作られていました。経営指針を中心に赤いファイルに綴じて、会社運営に必要なお言葉などもいっしょに綴じて、かなり使い古されたファイルになっています。最初は、会社が何のためにあるのかということと、社員に経営方針を理解してもらうために作られました。会社を続けられたのは経営指針書があったからだと東さんは言われています。
【作成のきっかけは?】
創業時から自己流で作成していましたが、同友会中央支部で当時「経営指針作成委員会(中央支部のあすなろ塾)」があったので、参加して経営指針について勉強しました。それから毎年更新して、新年度に社員に読み合わせして確認しています。
【作成中、大変だったこと】
自分の思いを具現化して文章に落とし込むことが大変でした。でも、一回作ってしまえば、毎年リニューアルするだけです。同友会の勉強会では、何社か見せてもらって、参考にさせてもらいました。工夫したところは、会社の仕事内容や経営方針を、具体的にやさしい表現で書いて、経営実施計画書を作成して渡したことです。
【作成後に感じた事】
指針書など、何もなかったら、惰性で仕事をやってしまっていたかも知れません。経営指針書があるから、社員に周知徹底できたと思います。経営指針書は経営者の思いを社員に伝えるツールなので、これがあったから、これまで会社を続けられたのだと思います。まさに経営指針書は「会社のバイブル」だと思います。
【自社の経営指針書の特徴】
経営指針書の赤いファイルはA4版の2穴リングで綴じるタイプで、その中には江戸時代のものと思わせる年代物のお言葉や社外で勉強した資料を大事に綴じ込んでいます。これは社員にも渡しています。
【編集後記】
東さんの経営理念には、「経営、会社運営、価値観の共有、お客様・関係機関に対すること、社内の基本姿勢、地球環境・地域に対すること」の考え方を簡潔に書かれています。読み上げてみると、長年磨きあげられた文章だけあって、とても読みやすい、歯切れのいい文章になっています。経営方針の内容は、「ビジョン、旅行市場への事業方針、会社の社会性、社会的責任、経営目標」です。(写真参照)
経営指針書の綴じ方には、製本して一冊の本のようにしたものと、年度の途中で大事だなと思った文章を綴じ込めるように、二穴リングのファイル式のものがあります。
製本タイプは、単行本のようなA5版サイズ版は愛着がわいて、いつでも開いて見たいなという気分になります。製本タイプA4版は単行本よりページ数を少なめに、厚さを薄めにして、教科書のように使用できます。
A4版の場合、社員の潜在意識に視覚的に訴えられるよう、字を大きく、広いスペースにもったいないくらい少ない文字数で作成されている方もいらっしゃいます。2穴リングまたは4穴リングで綴じる場合は、A4サイズですが、経営理念、ビジョン、経営指針書、行動方針など、基本的な部分は少し厚い紙で印刷し、破れないように工夫されています。そして、後半は各自好きなお言葉を差し込んだり、ビジネスマナーマニュアルなどの冊子を綴じこんだりしています。マニュアルを別冊で差し込むのは便利ですね。
長い年月をかけて作り上げていく経営指針書は、東さんの言われるとおり、「会社のバイブル」としての、また、判断のよりどころとしての存在価値があるんですね。(岡本健一)