第12期経営指針書作成セミナー 体験記(岡本健一)

起立!よろしくお願いします!
起立!ありがとうございます!
あすなろ塾、2泊3日の経営指針作成セミナーで行われる、この「ありがとうございます」というかけ声は、慣れないと、ちょっと照れくさく感じます。しかし、話を聞き終わった後は、本当にありがたい話を聞かせて頂いた、本当にありがとうという気持ちで深々と頭を下げている自分に気づきます。

この経営指針作成セミナーは、経営計画書を作成するためのセミナーという位置づけ以上に、経営(マネジメント)の基本を学習できるセミナーだと感じました。全課程終了後にいただく修了証書には「企業経営の基本を学び、全課程を修了されました。」と書いてあります。

このセミナーは、レクチャーの時間が長く、経営に必要な基本的事項を学べます。
そういう意味では、創業間もない経営者は、是非参加して頂きたいセミナーです。

「最初の一歩で、つまずかなければ・・・・」と後から後悔しないために、
事業の創業期に3日だけ時間をさいてもらえればと思います。

開催日 平成27年2月27日~3月1日(2泊3日)
場所 佐賀県唐津市東唐津 虹ノ松原ホテル

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【Ⅰ 経営ビジョン】
担当者:吉浦経営労働委員

吉浦氏は、ビジョンを実現するための行動を、かたくなに、かたくなに、やり続けたそうです。
ビジョンで策定した年商を達成するために、やることをみつけて、やり続けられました
ある程度ビジョンを修正しながらや続けた結果、少年科学館でダンスの大会を開くビジョンを実現したそうです。
(写真を見ましたが、それはそれは盛大な催し物でした。)
2泊3日で決めたビジョンをやりつづけた結果、実現したそうです。

吉浦氏は、ビジョンを決めるにあたって、
組織もないのに組織図をつくりました。
売上げが右上がりに上がっていくグラフもつくり
空想をずっと追いかけてきました。
(ビジョンを具体的に思い描くことが大事なんですね。それもリアルに、マジで。)

そんなときにM&Aの話がまいこんできました。
派遣会社の経営を引き受けてもらえないかと。

年商をビジョンの一つに掲げていたから、そんな話を受信したのだと思います。

ある方から言われたことは
「理念は目的なんだ、常に追求するものだ」

目標(ビジョン)ばっかり達成して、目的(理念)を忘れていた。

会社は生き物で、経営者の考え方一つで、会社は決まる。

地道な活動をすることで、会社の業績もよくなってきた。

会社をおさめるには、まずは自分の身内からはじめることが大事だと、
中国の古典「大学」を引用して説明されました。

古の明徳を天下に明らかにせんと欲する者は、先ず其の国を治む。
其の国を治めんと欲する者は、先ず其の家を斉(とと)のふ。
其の家を斉えんと欲する者は、先ず其の身を修む。
其の身を修めんと欲する者は、先ず其の心を正す。
其の心を正さんと欲する者は、先ず其の意を誠にす。
其の意を誠にせんと欲する者は、先ず其の知を致す、知を致すは物を格(ただ)すに在り。・・・・

リーダーが明確にビジョンを持って
モノクロではなくカラーでビジョンをしっかり描いて(森経営労働委員長談)
10年後の会社の玄関を開けたときの風景をカラーで描いて

あとはやるだけ
この2泊3日で、ビジョンを明確に、具体的に

そして、ずっと思い続ける覚悟を2泊3日で醸成していってほしい。

大きなビジョンに社長が突き進んでいると。
そしたら、社員はそれを見ている。

自社の10年後のビジョンをストーリーでもよく、
羅列でもいいのでリストアップする。
5年後も作る。

ビジョンをどこまで強く想えるか。
やり方、あり方を持つことを2泊3日でやってほしい。
そして、やれるかどうか自分に約束してほしい。

何歳まで働くのか、
そこから、ご自分の年齢を差し引いて5で割る。

大きなことをするのは最低でも5年はかかると言われます。
そうするとみなさんはあと何回チャレンジできますか?
5で割ることで回数が算出できます。

仮に2.5回なら、2.5回のうち最初の1.5回は失敗するかも知れません。
そうすると残りは1回となります。
限られた人生の間でチャレンジできる回数はすくないのです。

(感想)
吉浦氏のこの説明は、ありがたいと感謝しました。
吉浦経営労働委員の報告は、とても魅力的です。何より夢見ることを教えてくれる内容、自分のビジョンをカラーで具体的に描くという作業がとても楽しい。次々に思い描く自分のビジョン。組織図。スタッフ。自分の将来の事務所。考えていくだけでとても楽しいと感じました。

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【Ⅱ 経営方針①】
担当者:福田経営労働委員

経営方針の作成手順は、
同友会の経営指針作成の手引き(400円)
25ページに記載のあるステップごとにすすめていきます。

まず、現在の課題を明らかにする
次に、外部環境と自社の強み・弱みを分析し、自社が発展する道を見つけ出す。
そして、3~5年で達成する目標(ビジョン)とそれを実現するための方策を確定する。

このあとの講義で登場するSWOT分析、事業領域、外部環境のこと含めて流れを説明されました。

ビジョンは、
「赤字を黒字にしたい」などとシンプルにしていい。

経営理念実現の課題を、手引き25ページの手順にしたがって説明されました。
4つの切り口
1 今後の事業展開、方向と目標
2 働きがいのある会社づくり
・・・社員に対して、社員の声を吸い上げるように
3 企業の社会的責任
 ・・・地域のゴミ拾い、マラソン大会 
4 数値上の目標
・・・財務の視点 目標をもってやること 2泊3日で学んだことなど
  
この4つの視点にから切り崩して課題を抽出してください。

経営方針の作成手順
① 現在の課題を明らかにする
② 外部環境と自社の強み・弱みを分析し、自社が発展する道を見つけ出す。
③ 3~5年で達成する目標(ビジョン)とそれを実現するための方策を確定する。

① ②は同時にすすめることがよい。

SWOT分析について
事業展開を落とし込んでいきましょう。
⇒このあと、田村氏より報告があります。

地域の人に喜んでもらえる
地域の高齢者に受け入れられる病院にする
このような基本的な考え方を重視すると
→そうすると、高額な設備は導入するかどうかについて方針が見つけられる。
選択と集中

ビジョンはフルカラーで
できれば数字をつけて

自分達の課題をみつけて

経営方針は
会社の進むべき基本的方向と目標(経営理念実現・ビジョン達成の課題・課題の抽出)を見つける。
4つの切り口からまとめていく

① 今後の事業展開
商品(新製品・商品開発)見直し 、市場(新市場開拓) 、 顧客

② 働きがいのある会社 方向と目標
 人材採用、社員教育、労働条件改善、組織風土づくり

③ 企業の社会的責任 方向と目標
地域・社会への貢献、地球環境保全への取り組み

④ 業績向上 方向と目標
売上高目標、 利益(利益率)目標、 自己資本比率

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【Ⅲ 財務知識の活用】

山口経営労働副委員長
(かっこ内は岡本の感想)

山口氏は、お仕事は、動物病院の副委員長をなさっています。

獣医師の勉強しかせずに開業した。
マネジメントとか決算書とか勉強しなかった。
みんなそんな感じで開業している

同友会で財務のことなどを勉強して、がーん、えらいことになってると、
経営のまずさに気づきました。
自社の財務内容をみて、その意味がわかって、はじめて実状がわかりました。

プロの税理士ではないが最初の一歩でつまずいたことを皆さんにお伝えします。

最初の一歩をつまづかなかったら・・・
もっとうまく経営できたのに・・・
そうならないようにお話したいと思います。

私は、最初は獣医の勉強しかしてなかったから、
買掛金、減価償却費・・・なんのことやら・・・・

流動資産・・・現金化しやすい
固定資産・・・現金化しにくい

流動負債・・・早く返す
固定負債・・・ゆっくり返す
自己資本・・・返さなくていい

借金の元金返済分は、経費になりません!
現金の流れを把握する資金繰り表。

決算書は眺めてみて下さい。
いつも見ていると、決算書がわかってきます。
自分のことだと思っている内にわかってきます。

(感想)
山口氏は、とてもわかりやすい説明をされます。
会計の知識がない経営者にも、話していることがわかる内容だと思います。

とても病院の先生とは思えないくらい財務のことを詳しく説明されます。
どんな専門業種の事業でも財務の知識を押さえておくことは大事だと思いました。
専門業種といっても、経営はしないといけないのですから。

九州弁で説明されるので、会計の専門家から習うのと違って、
会話体で説明をされるので友人から財務を習っている気分です。

財務分析も、指標の意味も、説明がわかりやすいです。話し方の視点が、初心者には入りやすいのだと思います。

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【Ⅳ SWOT分析】
担当者:田村経営労働委員

SWOT分析の説明、新しい事業の考え方についての説明
何が課題かわからない、わからないことを探すツールが経営ツールです。
その中の一つです。

田村氏の報告は、ご自身がいきなりSWOTの表の作成にとりかかると
手が止まってしまって、作業を進めにくかった体験を生かして、
分解して作業を進める方法を提案されました。
その方法ですすめていくと、私自身もすんなり作業をすすめられました。

その方法は、
まずは自社の強み弱みだけをリストアップしていきます。
ここで、外部環境の機会・脅威まで考えてしまうと、ごちゃ混ぜになってしまって、わかりにくくなるので、考えないようにします。
次に、外部環境のみリストアップしていきます。

このように作業をすすめて、
SWOT分析ができたら、次にクロス分析をしていきます。

今は、単一事業ではやりにくい時代だと言われる田村氏は
事業の多角化の重要性を説明されました。

そして、クロス分析で強みと機会を、組み合わせたり、
どのような事業が想定できるのか、説明されました。

会場で参加者の事例で、
強みである塗装業と機会である古い建物に注目があるという背景を掛け合わせて
ビンテージジーンズのように
古い建物を古いだけにせず、ビンテージ色を感じさせる塗装を施し、
ビンテージ建物にして価値観を高めようという事業が紹介されました。

私も、SWOT分析をやってみると、
私の場合、どうやら、事業のサービスごとに分けてSWOT分析をした方がいいと感じました。
田村氏もそのように説明されていました。
違うサービスを何種類かやっている場合は、
強み・弱み・機会・脅威が、ごちゃまぜになるので、
余計にわからなくなるので、商品の大分類やサービスの種類ごとに分けて考えるとよいのだそうです。

このような分析ツールを使ってみて感じることは、
やはりツールは考え方を整理するうえで、とても有効な手段なのだと思ったことです。
楽に思考を整理していける、整理すると気づくことがある、
意外な視点や着眼点から、ちがった発想を導ける、そのような効果があります。

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【第5講 経営方針② 事業領域】

担当者:田村経営労働委員

私は事業領域をつくってから経営理念をつくった変わり種です。

1.事業領域とは?
事業領域とは、事業ドメインともいいます。

なぜ必要か?
無謀な多角化を抑制するため
経営資源と社員のベクトルを同じ方向へ集中させるため

2.広すぎる事業領域はダメ
企業は一本足打法ではダメです。
単一の事業だけでは成長を続けることは不可能 
(現状維持は後退と同じ。同業者は必死にがんばっているので、自社は後退していっている。)
だから、多角化は必須です。

事業領域を定めていなかったら、自社の競争能力や経営資源を超えた無謀な多角化が行われてします。
無謀な多角化は、やらないと決める事

あらかじめ事業領域を設定し、そこから外れる事業には参入しないと決める。
→捨てる勇気を持ちましょう。やらない勇気。

3.ただし、狭すぎてもダメ

事業展開に制約が生じ
この状況を「マーケティングの近視眼」という。

例)米国の鉄道産業の斜陽化で、
その企業は、自らの事業を「鉄道事業」と規定
しかし、トラックなどの運輸業がさかんになり、鉄道しかしないと決めたその会社は衰退。
「鉄道事業」ではなく「輸送事業」としていれば・・・生き残っていたかも知れません。

4.事業領域を決めるための3要素
誰に、何を、どのように

誰に: 顧客 ・・・市場 ターゲットとする顧客(市場)
何を: 価値 ・・・自社が提供する価値を示します。
どのようにして:技術 ・・・自社が保有する技術・ノウハウを示します。

5.あなたの会社は何屋(何業)さん?
花屋さんは何屋さん?
「花」は実はツール
お客さんは、お花を買いに行っていない・・・実は、
例えば、お花を通じて、妻の笑顔がほしいから買いに行っている
ということは、お花屋さんは笑顔提供屋さんとも言える

なぜ、このような考え方が必要かは次の通り

事業領域を狭く考えると、次のビジョンが見つからない・・・
事業領域を広く考えると、状況に応じたソリューションの提供ができるようになる
「誰に、なにを、どのように」について、新しい視点から見えてくる

6.他社には真似できない独自の力(コア・コンピタンス)について

オリエンタルランドは、遊園地業ではなくて、『心の活力創造業』
明治生命は、保険業ではなくて、『総合生活・金融関連サービス産業』
IBMは、IT業ではなくて、『問題解決サービス業』
ツムラは、薬屋ではなくて、『漢方を原点とした総合健康医療業』
電通は、広告業ではなくて、『トータルコミュニケーションサービス業』
サントリーは、酒造業ではなく、『生活文化産業』

自社が何業か確認していくと、自社で提供していない部分について補うために、
例えば同友会の仲間同士で業務提携をしたりできる。

(感想)
話を聞いている内に楽しくなってきます。新しい景色がみえてくると、人は楽しくなってくるものですね。

田村氏の説明の中で、「あなたは何屋さん?」というコーナーがとても考えさせられました。

「何屋さん」という簡単な言葉で
事業ドメイン(誰に、何を、どのように)が説明できてしまうのです。

そうすると、次の事業の展開が考えやすいし、
事業の選択と集中の仕方が考えやすくなります。

目先の商品の販売業ではなく、もっと後ろにさがった視点から着眼し、
その商品をお客さんが購入した背景やニーズを重視します。

そうすると、お客さんの潜在的なニーズを、取り違えることなく、
求められるニーズと提供するサービスがずれずに、
マトを得た事業展開が発見しやすくなると思います。

田村氏は自社のことを「出版業」ではなく、「ものがたり業」だと言われます。
出版業と決めつけてしまっていたら、わからなかったお客さんの潜在的ニーズを
ものがたり業だと位置づけることで、あらたな価値の提供方法をみつけられています。

さらに、ものがたり業を中心に描いた図の周りに、それに関連した提供できるサービスを配置し、
選択と集中をもって整理し、その周囲のサービスを線でつなぐことで、
サービスの相乗効果も期待できるし、
お客様へ次から次へとサービスを提案できるといわれます。

サービスの基本部分が同じなので、一つのサービスを提供した後に蓄積される基礎データが次のサービスを提案できるデータベースになっているので、
一つのサービスを提供した後に、次はこのサービスがありますよ、お客さんに提案しやすいし、
受注後も作業をしやすいということです。

あなたは何屋さん?と考えることは、
難しくいわれがちな事業領域の話を
かんたんに思考をすすめやすい、手段だと思います。

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次回は平成27年8月です。

この指針作成セミナーに参加するには、あすなろ塾に参加しておかなければなりません。

 

 

あすなろ塾・経営指針作成セミナー

2015年2月27日