経営指針書『我社の場合』 I・WA・MI㈱ 代表取締役 三輪 公平 氏

社員へ経営計画書を浸透させる方法として、クレドカードを活用している三輪社長

 三輪社長は、I・WA・MI株式会社を創業する前から、経営計画書の存在はご存じでした。(I・WA・MI株式会社では経営指針書を経営計画書と呼んでいます。)

 創業前に勤務していた会社に経営計画書があり、同友会でもその勉強をされていました。

 I・WA・MI株式会社創業後も自然な流れで、経営計画書を作成されました。作成した経営計画書を同友会の先輩である、株式会社やずや創業者の故矢頭信夫氏、拓新産業㈱式会社の藤河氏(南支部)、株式会社コミプラサービスの時枝氏(南支部)に見てもらいに行かれたそうです。そのときの先輩方のコメントは、「君が作ったんならいいよ」と言われただけで、何もアドバイスをもらうことはなかったそうです。

 当時、経営指針書作成セミナーは志賀島で開催されていましたが、その時は三輪社長は行かれていません。しかし、創業10期目で経営計画書の整理のためにと、そして精度を高めるために、もう一度勉強しようと思い、セミナーに参加されました。それでは、どうぞ。

【指針書を作るときに大変だったこと】

 経営計画書に文章で書くべき、基本の姿勢は社内環境にすでに存在し、日頃、社員に言っていることを成文化したので、大変だったという実感はあまりありません。

 指針書インタビュー 三輪さん 経営計画書とクレド

【指針書を作って後に感じたこと】

 経営計画書の社員への浸透は難しいです。ゆっくりとしか浸透しない。よく経営計画書を導入すると会社が「劇的に変わった」とか言われるが、私には信じがたい。そこで、社員への浸透をすすめる方法として、クレドカードで説明しています(写真参照)。クレドカードはクレジットカードほどの大きさで観音開きの4面裏表にしていますが、外面には、経営理念やできる人10ヵ条を書いて、内側にその説明を書いています。これは正社員・パート・アルバイトみんな持っています。

【指針書を作って変わった事】

 最初から経営計画書があったので、無かったときとの違いは分からない。しかし、無かったら、経営を適当にやってるだけになったかもしれない。無い会社は、どうやってやれてるんだろうと思う。給料とかどうやって決めるのだろうと思う。(I・WA・MI(株)では細かい給料の評価基準があります。測る基準を数値化するようにしています。)

【自社の指針書の特徴】
  1. 活動のための毎年のテーマは、『企業変革支援プログラムSTEP2』から拾っています。STEP1でチャートにして、足りないところをSTEP2で抜き出してテーマにしています。
  2. PDCAは人事担当がしている。外部の人事担当にまかせて、計画的な人づくりをしています。(経理と人事教育・評価を合理的にアウトソーシングされています。)
  3. 評価基準は、経営理念ともリンクしているし、給料ともリンクしています。
  4. 人事も数値化している。社員育成シートでABCとか、点が出るようにしています。給料も連動します。仕事をここまでやれば、給料はここまでもらえる。特に、事務とか制作担当の給料の基準はどうやって決めるのか、この数値が重要になります。
  5. 人事評価は、社長と社員の好き嫌いの影響を受けないような仕組みになっています。上司の評価・部下の評価・本人の評価の3つで公平に評価される仕組みにしています。
  6. 経営計画書は正社員のみに配布しています。A4版で大きく、持ち歩くことは大変なので、各自事務所で保管していると思います。経営計画書は、2穴リングのファイルで綴じるスタイルですが、後半に同友会の「パーフェクトマナーブック」をつけています。これには「経営計画書のかみ砕き版」といえるものが入っています。持ち運びに不便な経営計画書の代わりに、クレドというカードを作っています。これは正社員・パート・アルバイトと全職員に持ち歩いてもらっています。
【経営計画書の今期のテーマ】
  1. 強み・弱みの選択
  2. 本人・会社・仕事の強み・弱みを理解する
  3. 会社の数字の把握
  4. 月次決算で経常利益まで正社員に公開しています。経常利益までわかってないと無駄遣いしてしまいがちだからです。また、数値がわからなければ働く目的が見えてこないと思うのです。ご存じの方も多いと思いますが『3人の石工』の話のように、目的をわかってもらいたいから、働く目的のために数字を把握し理解してもらっています。
【編集後記】

 今回、三輪社長のお話を聞いて、会社を運営するために、多くの仕組み作りがされていると感じました。また、経営計画書を判断基準や目指すべき水準として、機能させることに大変工夫されていると感じました。いたるところに工夫のあとが見られるのに、今年の『やりあげ感(達成度)』は、100点中50点だといわれます。この言葉に、三輪社長の、経営計画書を機能させるための情熱と追求する気持ちを感じます。 (岡本健一)

 

あすなろ塾・経営指針作成セミナー

2014年9月19日