~のおがた支部 11月例会~

のおがた支部11月例会が令和5年11月21日(火)にユメニティのおがたにて行われました。
「うきはの宝株式会社のこれから築く企業づくりとは ~ばあちゃんと一緒に歩む幸せのカタチ~」 と題しまして、うきはの宝株式会社代表取締役大熊充氏に報告していただきました。

大熊さんがこの事業をはじめようと思われたのは、20代の頃にバイク事故を起こし、4年間の入院生活で笑顔を失っていたときに、認知症のばあちゃんたちが遠慮なく話しかけられて笑顔を取り戻し、ばあちゃんたちのために何かしたい、今度は僕がばあちゃんたちを笑顔にする番だと思い立ったからでした。

浮羽でばあちゃんたちと触れ合う中、ばあちゃんたちが生きがいを得られず孤立していることに気付き、ばあちゃんたちがイキイキと暮らすには活躍の場と収入が必要だと考えました。

20代でデザイン事務所を創業していた大熊さんですがもう一度経営を学び直したいと同友会の『経営指針書作成セミナー』に参加し、先輩経営者有志にサポートして頂きながら、何の為に事業をやるのか、どんな経営をするのかを成文化し経営指針書を作りました。

2019年に超高齢化の進む農村でおばあちゃんたちが働くことで生きがいと収入を得られる、75歳以上のおばあちゃんたちが働ける会社『うきはの宝株式会社』を設立し、ばあちゃん飯ブランドの製造販売をスタートしました。

ここ最近メディアへの登場が増え、順調に成長してきたように受け取られているかもしれませんが、ばあちゃんたちの得意と仕事内容の不一致、ばあちゃん同士の仲違い、新型コロナのまん延、ばあちゃん食堂の閉鎖、若者の採用ミスマッチなどたくさんの失敗を経験しました。外部から訳の分からないクレームもあったようです。

さまざまな危機は、ばあちゃんの得意なところを伸ばす、根気よく覚えてもらう、ばあちゃんの採用をばあちゃんに任せる、シフトを工夫する、専門家を入れる、急な予定変更をOKにする、など「試行錯誤と創意工夫」の連続で乗り越えていかれました。

そうしてばあちゃんの働く場を創り続けていく理念を掲げ、大熊さんは独自のデザイン思考・デザイン経営で新たな事業を創出していきます。「75歳以上のばあちゃんたちの雇用を500人、直接的・間接的に創り出す。」3か年で到達することをビジョンに掲げ、高齢者就労の機運を創り、20~90歳が協力して働く仕組みを全国へと広げ、高齢者雇用制度の改正を働きかけようとしています。

その具体的な取り組みとして、再現性が高く他の地域へと拡大できる高齢者就労コンサルティング、YouturbやSNSを使ったメディア戦略、ばあちゃん新聞の発刊やじいちゃん新聞の構想など、精力的に進めています。そこにはばあちゃんの家族が喜びばあちゃんたちも喜ぶしかけも入っています。

大熊さんの人を巻き込む力の出所は、ビジョンをどこでも誰にも短時間でも常に話しているところにあるようです。またデザイン経営の秘訣については、課題を抽出し優先順位をつけて整理し、課題どうしをぶつけて頭の中で設計しているとのことでした。

大熊さんは、日本社会の先を見据え社会的な事業に取り組まれています。グループディスカッションでは、自社の先を見据えた取り組みを発表し、深堀をして学び合い、それぞれ気づきを持ち帰りました。
大熊さんの視点や発想に大きな気づきを得た有意義な例会となりました。

株式会社プラスアルファ
高嶋正治

2023年12月8日

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