たくさんのありがとうをあつめよう!―(株)まきもと(向日葵グループ)

 福岡県内10ヶ所で福祉サービスを提供している「(株)まきもと」。代表の牧本貴宏さんは当会博多支部の会員で、2015年度よりバリアフリー委員会(障がい者雇用に関する委員会)の委員長を務めています。

障がい者との出会い

 牧本さんは熊本の工業高校を卒業後、日産自動車の工場で1年、八代郵便局で2年、佐川急便で11年正規職員として勤務します。その後2006年7月に訪問介護の会社を創業。運送から福祉というまったく畑の違う業界でしたが、これからはシルバービジネスの時代だと考えていたこと、また31歳と若かったため失敗してもやり直せるという気持ちもあり、当時はあまり深く考えず始めたそうです。

 障がい者と出会ったのは訪問介護の現場でした。難病や先天性の染色体異常、不慮の事故による半身不随など、実際に目の当たりしたことで「障がいは決して他人事ではない」と感じたと言います。障がいと闘いながら懸命に生きる姿は「生きるとは何か」を問いかけるものでした。利用者の中には自らの死を悟りながらも、これまでの人生やこれからの夢を語ってくれる方もいました。「そうすることで思いや夢を自分に託したんじゃないか」と牧本さんは今でも考えることがあります。

 また、接する中で障がい者が働ける場が必要だと感じた牧本さんは就労支援事業にも取り組み始めます。現在の事業内容は訪問介護、就労支援A型・B型事業所、グループホーム、ショートステイ、放課後デイサービス、ヘルパーなど多岐に渡り、利用者や地域の困り事に応えていくうちに増えていきました。 

地域の中で生きる

同友会のネクタイで出迎えてくれた牧本さん

 福祉サービスの提供を通して、牧本さんは地域の中で生きることの重要性を感じています。高齢者や障がい者が増えていく中、地域全体で見守る仕組みづくりは急務であり、防災の面でも大切なものです。行政や地域住民の協力だけでなく、障がい者自身も就労やスポーツ、芸術文化活動などを通して社会参画する努力が必要だと牧本さんは言います。実際に事業所の職員と利用者で地域の清掃活動を行っており、近隣住民と顔見知りになることでトラブルを防げることもあります。就労支援とともに地域交流を盛んにしていくことが今後の目標です。

障がい者雇用は特別なことではない

 経営指針書作成、新卒採用、社員教育までは取り組むものの、障がい者雇用については別次元だと捉える経営者は未だ多くいます。それに対し牧本さんは「障がい者と接することで自分の至らなさに気付き、経営者として人間として磨かれていく。経営者の愛情と覚悟があれば必ず実践できる。障がいがあるかないかは関係ない」と熱く語ります。性別、年齢、国籍、障がいの有無に関わらず、誰もが働きやすい会社づくりが当然になる、「人を生かす経営」と言葉にしなくてもいい世の中になることが牧本さんの願いです。(事務局・本村)

 

(株)まきもと(向日葵グループ)

 代 表 牧本 貴宏

 所在地 福岡市東区箱崎6-11-9(本部)

 創 業 2006年

 業 種 福祉・介護

 理 念 たくさんのありがとうをあつめよう!

      ご利用者第一主義に徹します

      地域社会・福祉の連携・発展に協力します

      責任と誠意を使命とします

      共生社会の実現を目指します

 ホームページhttp://carestation-himawari.com/index.html

2019年11月27日