今回、新聞社の取材に同行して、株式会社Bビーイング代表取締役の塚崎ひとみさんを訪問させて頂きました。
もともとは、1984年にベスト事務機という社名で塚崎さんの夫が創業され、コピー機やFAXの販売とメンテナンスを主な事業としていました。夫婦二人三脚で会社を経営してきました。2003年、会社がやっと好転してきたときに、突然、夫が倒れて亡くなってしまいます。お客様への責任を果たすこと、社員の生活を守ることを考えたら、自分が社長をするしかないと思い、塚崎さんは経営者になることを決意します。まわりの人は、すぐに潰れると思っていたそうですが、ご自身はそんなことを考える余裕もありませんでした。
夫は優秀な営業マンだったため、社員に上から教えていました。しかし自分は何もできず、何も分からないので、社員が何か売ってきたら「すごいねー」と褒めていたところ、社員が成長し業績が良くなりました。この業界のことを知らないため、業界の常識もなく、効率を考えていろいろ提案しました。例えば、営業とサービスは別々の人がそれぞれやっていましたが、サービスマンを営業化することで、お客様の信頼もより得られるようになりました。
社長になってから、わが社は何のためにあるのか、凄く悩んだ時期もあります。世の中はディスカウント一辺倒で、価格や価値が下がっていました。技術力やスキルを価値として、価格に転嫁できるかどうかを考えました。
売上総利益=お客様の評価額であること、理念と財務を繋ぎ合わせてあらゆる角度から社員を納得させないといけないと思い、必死で勉強しました。
2014年にBフロアをつくりました。ここは、働き方のショールームで、お客様のニーズを掘り出す場所です。キッチンをつくり話しやすさを演出、フリースペースを設け、壁はホワイトボードにしました。この場所を見ると、自社の課題が浮き彫りになるため、お客様は無言になります。「ウチにモノが多いのは、どうすればいいと?」そう聞かれると、こちらは営業ではなくコンサルになり、競合他社がいなくなります。
お客様に説明することで社員は自信がつき、一人ひとりが何のために働くのかを考えるようになるため、善の好循環ができていると感じています。
「社長をさせてもらって、人生が10倍楽しめた!」と言っていたら、社員の一人が“社長になりたい”といってきました。これほどやりがいのある仕事はないし、本当に会える人が増えるのが社長。2020年、ベストオフィスクリエイションを社員に承継し、(株)Bビーイングを設立、現在は代表取締役をやっています。分社して両社とも業績が上がり、本当によかったと笑顔で話していただきました。