ものづくりはひとづくり 社員の成長があってはじめて会社は成長する。  (株)ブンカ巧芸社

創業の地は鹿児島市

株式会社ブンカ巧芸社は、鹿児島市に本社がある看板広告を製作される会社です。業種としては製造業になるのですが、看板は建物に付属することも多く、また看板だけを設置する場合でも基礎工事や電気工事が必要なことも多く、建設業とも密接な関係になる業種となります。特徴として、企画提案から設計、制作、取付、メンテナンスまでを一貫して自社で行えることです。創業は1953年4月で、現代表の峯元信明社長(鹿児島同友会所属)のお祖父様である時則氏が創業されました。それからお父様でもある先代の時秀氏が代表をされ、現代表である信明氏は2012年に社長に就任されました。今回お話を伺ったのは専務取締役の秀爾氏です。秀爾氏は、信明氏の弟御で、現在は兄弟二人が中心となり、株式会社ブンカ巧芸社を経営されています。
秀爾専務の主な拠点は福岡支社です。鹿児島市と福岡市以外にも、東京に営業所があり、最近沖縄にも営業所を開設されました。鹿児島県はもちろん、九州商圏でもトップシェアを誇っている創業70年を迎えた老舗企業です。

人づくりに注力

もともとあまり離職率はよくなかったそうですが、2008年のリーマンショックの時には多くの退職者がでました。不景気という外部要因もあったそうですが、それ以外にも多くの課題がある会社だったそうです。それまでは、会社のカリスマでもあった時秀氏が会社を引っ張っていたそうですが、信明氏が代表に就任するにあたり、カリスマ経営からチーム経営へと舵を切りました。また、以前は人が辞めるのは個人の能力の問題で、会社のせいで辞めるとは考えていなかったそうですが、会社に問題があると考えるようになり、働きやすい企業風土の構築を目指すようになったそうです。そこで、委員会活動に取り組み、社員間のコミュニケーションを図り、助け合う企業へと変えていきます。また委員会活動では若手が役を担うことで、人育てにもいい影響を与えるようになったそうです。その委員会活動の一つに環境委員会がありました。この委員会では3S活動に取り組みました。工場内を整理し、道具を整頓し、きれいな状態を保つための清掃ルールも作られました。こうすることで、自分たちの工場に誇りを持てるようになったそうです。

未来ビジョンの共有

あわせて未来ビジョンの共有を始めます。「全社一丸体制 社員と共に成長する会社を目指す!」とし、経営理念を成文化します。「我々は、最良の価値を提供し、お客様の商売繁盛に寄与します。」「我々は、ブンカ魂の基、個人の個性と能力をおしみなく発揮し、社員と共に発展する企業を目指します。」「我々は、明るく、活気あふれる未来空間を創造し、地域社会に貢献します。」の3つの理念を掲げられました。これらは株式会社ブンカ巧芸社の事業目的であり、自分たちの使命、目指す社風、自分たちの存在価値を表しています。また、5つの魂(ブンカ魂)を大切な価値観として定めます。「顧客第一の精神、感謝の心、強調する気持ち、創造する信念、改革への情熱」で、先代がよく言われていた言葉だそうです。この魂を大切にしながら、新しいことへの挑戦をはじめます。これらを定めた経営指針書も年々バージョンアップ。2010年に始めた当初は、A4コピー用紙を束ねたものでしたが、今では表紙もデザインされ、きれいに製本されたものが作られるようになりました。中身も、経営理念、10年ビジョン・経営目標、経営方針・各種方針・部署目標となっています。その共有には、年2回の全体会議、月1回のタウンミーティング、そして週1回の朝礼を通じて、行っています。目指す先を決め、今取り組むことを決める。また決めたことを振り返り、確認する。これらの事を大事にしながら、取り組まれているそうです。

全社一丸体制を目指す

株式会社ブンカ巧芸社は、組織の重用な要素に、「コミュニケーション」「共通目的」「協働意欲」の3要素が大事だと考えています。それぞれ、「お互いを助け合う会社でありたい」「会社の目的を共有する」「自分たちの会社は自分たちで良くする風土を作りたい」という意味があるそうです。

経営重点方針(2010~2017)

未来ビジョンの共有と働きやすい企業風土の構築をあわせて、組織づくりを行います。2010年から「人と組織の成長」を経営重点方針に掲げ、「ものづくりはひとづくり 社員の成長が会ってはじめて会社は成長する。」と位置づけました。会社は社員の成長へと投資をはじめたのです。もちろん社員自らが自身を高め、積極的に学ぶ成長意欲を持つ集団でないといけません。そこには、社員が育つ環境を整えること、そして、社員が育つ機会を作ることが人材育成の考え方として捉えられました。2008年に多くの離職者が出た際、離職が会社の成長を遅らせることに気づいたため、この方針が出されました。カリスマではない兄弟が、社員みんなの力を活かし、組織を成長させる。カリスマ経営からチーム経営の転換は、ボトムダウン経営からボトムアップ経営への転換でもありました。個人の個性と能力をおしみなく発揮し、社員と共に成長する企業を目指す。そして社員重視で社員の夢が実現できる会社を目指した結果、「ものづくりはひとづくり」の共育に関する方針が生まれたのです。

新卒採用の開始

2012年、新卒採用をスタートします。他社とさまざまな点で比較ができ、自社の見直す点が学べたそうです。なぜ先輩の会社は選ばれるのに、我が社は選ばれないのか。先輩企業の選ばれる魅力ある会社を実感することができ、社内改革はさらに深まったそうです。

また、初めて新卒採用をした女性スタッフがいろいろな相談をしてきたそうで、一緒に新たなことにもチャレンジをしてきたそうです。そして、本人が辞めたいという相談があれば、そのたびに辞めないでいいように改善。その結果、女性が活躍できる仕組み、女性への配慮、会社の改善など一緒に行ってきたそうです。今でもこの女性スタッフや役職者として社あればデザイン研修もあります。これには、一連の流れを知ってもらうことだけではなく、その人の適正、合っているものは何かを見て、最終的には社長面談で決定する流れとなっています。そして、配属後、3ヶ月はOJTとなり、先輩社員がつきましたが、徐々に独り立ちするようになり、半年後には独り立ちしているそうです。もちろん、そんな短期間で完全な一人前にはならないので、上司に同行してもらったり、いつでも相談ができる関係づくりをしているということでした。また、いろいろな資格取得に関して手当も出るそうです。仕事に関係する資格で、決まりにないものがあったとしても、週の会議ですぐ検討し、対応されるそうです。そのため、仕事に関係する資格で、決まりにない資格はないのではないかということでした。

社員さんにもインタビュー

今回、社員教育をテーマに訪問しましたが、入社3年目の山下琴美さんと入社2年目の大山寛人さんのお二人にもお話を伺いました。お二人とも入社して成長したことに胃袋の大きさをあげてくれましたが(よく食事に連れて行ってくれる上司がいるそうです)、そんな話が出るほど雰囲気のよい会社でした。入社して学んだことについては、山下さんは人との接し方や話の聞き取り方を、大山さんは社会人としての基礎を学んだことだそうです。また、お二人とも営業職でありながら、デザインを手掛けたり、デジタルサイネージの仕事を開拓したりなどされているそうで、いろいろなことに挑戦ができる会社だと感じました。

□会社概要

創業 1953年4月

住所 大野城市山田3-4-8

 (本社)

 鹿児島市石谷町3655

電話 092-586-0180

従業員数 80名

URL  https://www.bunkakougeisya.co.jp

事業概要 屋外・屋内広告全般の企画・製作・施工・メンテナンス(屋外看板・屋内サイン・掲示板・黒板・デジタルサイネージ・電光掲示板・プロジェクションマッピングなど)、店舗内外装の企画・製作・施工、広告媒体看板の企画・製作・施工

2024年10月2日

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