10月17日・18日に「第20回障害者問題全国交流会in滋賀」が開催され、全国から400名を超える会員が滋賀の地に集結しました。
一日目は分科会報告が行われ、私は第3分科会「同友会の一丁目一番地はここにある~我々は企業家として障害者にどう向き合うのか~」に参加しました。愛知同友会「障害者自立応援委員会」の委員長を務めた杉浦昭男氏(真和建装㈱ 取締役会長)と浅井順一氏(㈱浅井製作所 代表取締役)から、同友会での学びや障がい者の方との関わり、そして中小企業家としての思いが熱く語られました。障がい者と共に働く中で経営者も社員も自分の人として足りない部分に気付き、「共に育つ」風土が自然と出来上がっていくこと。そして何より経営者自身が覚悟を持って障がい者に向き合い、お互いに認め合うことが大切だと学ぶことができました。
二日目は全体会で、「社会福祉の父」と言われる糸賀一雄氏を取り上げたNHK番組の鑑賞と、「真の共生社会の実現をめざして」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
糸賀一雄氏は戦後の混乱の中、行く先のない孤児や障がい児の受け入れ施設として「近江学園」を創設。その後も職業指導施設「信楽寮」や重度知的障がい児の施設「あざみ寮」などを設立し、障がいを持つ子供たちのために一生を捧げました。糸賀氏は「障がいのあるこの子たちこそが世の希望の光である」という思いを込め、「この子らを世の光に」という言葉を残しています。晩年、満身創痍で講演会に臨んでいた糸賀氏はこの言葉を口にしたと同時に倒れ、亡くなりました。障がい者と共に生きることを最期まで語り続けた糸賀氏の姿に会場では涙を流す人も見られました。
パネルディスカッションでは中同協障害者問題委員長の比嘉ゑみ子氏(㈲やんばるライフ 専務取締役)と滋賀同友会代表理事の永井茂一氏(㈱ピアライフ 代表取締役)がパネラーを務めました。障がい者雇用を始めた経緯や雇用したことで生まれた社員と自身の変化、そして経営者としての覚悟が語られました。最後は比嘉委員長の「バリアフリーはバリア(障壁)があるから存在する言葉であり、バリアフリーという言葉のない、そして障害者問題委員会のない世の中にすることが私たちの最終目標です」という言葉で締めくくられました。
2日間の報告で共通していたのが、どんな社員も見捨てない経営者の覚悟が何よりも必要であること、そして障がいのある方と関わることで経営者も社員も共に学び育っていくことでした。中小企業経営者の熱い思いが感じられた2日間でした。(事務局・本村)